余命宣告を受け、夫タケさんを自宅で看取る為、ケアマネさんが選定した訪問医と訪問看護師にお世話になることにしました。
訪問医との出会い
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訪問看護の嫌な思い出
『訪問看護』と聞いて、嫌な思いが湧いて出て、夫タケさんを自宅で看取る為には必要な事だと分かっていても、『なるべく先延ばしにしたい』、条件反射的にそう思ってしまっていました。
以前、訪問看護をお願いしていたのはタケさんのお母さんを在宅介護していた時。
「自分の娘だと思っている」私のことをそう言ってくれていたタケさんのお母さん。
本当に可愛がってもらいました。嫁姑問題なんてどこへやら。自分の実家よりも頻繁にタケさんの実家に出入りしていました。
その母が段々と介護が必要になったことで夫婦で我が家の近所に引っ越してきてもらって、病院への送り迎えやら買い物の付き添いやらお手伝いするようになって。
いよいよ父だけでは介護が困難になってからは、我が家に一緒に住むようになって、6人の大家族。
要介護5のほぼ寝たきりの80代の母と、元気な80代の父と、タケさんと、高校生の長男パカラさんと小学生の次男ゴボさん。
毎日てんやわんやの大忙し。
6人家族といっても、タケさんは朝から夜遅くまで仕事だったし、息子達は学校に習い事。
結局母の介護を担っていたのは父と私の2人。今思い返してみても毎日が戦いの様な日々。
手が離せない時には小学生のゴボさんにまで母のリハビリパンツの上げ下ろしをお願いする事も。今思い返しても申し訳ない気持ちに包まれてしまいます。
そんな戦場のような我が家に週に一度やってくる訪問看護師。
その頃は他にも訪問リハビリを週2回、デイサービスを週2回、ヘルパーさんが週2回来てくれていて、毎日誰かしら家に出入りしている感じで、その出入りも慌しく感じていました。
訪問看護師さんは医療的なチェックを担っていました。60歳代かな。事務的な応対でつっけんどんな冷たい印象を与える看護師さん。正直ちょっと苦手なタイプ。
初めて母のお尻に床ずれが出来てしまった時のこと。
「お尻を痛がっていて、赤くなっているから見てほしい」とお願いして、見てもらって、
看護師さんは床ずれだと言った後
「可哀想に」
と言った何気ないひと言が私の心に深く深く刺さりました。
私、母に可哀想なことをしているんだ…
いっぱいいっぱいな日常の中、一生懸命向き合って来たと思っていただけにこの『悪気のない（？）棘』が痛すぎて、痛いのに取れなくて…
母が亡くなって10年経ちますが、今思い出しても痛い。
訪問看護師からの電話
仕事終わりで家に帰宅途中のタイミングでタケさんの訪問看護の事務所から私の携帯に電話がかかってきました。
明るい男性の声。
「訪問医からの引き継ぎで一刻も早く訪問看護をと聞いたので明日お伺いしたい」と。
その時はまだタケさんの右目は見えていたから特にすぐに看護師さんが必要な状況ではなかったし、
落ち着いて電話をできる状態でなかったし、
何よりあの『悪意のない棘』がまた刺さるのかと思うと条件反射のように遠ざけたい気持ちに駆られ…
「夫は今のところ元気で、特に今すぐ訪問看護を必要とする状態では無いのでもう少し先でお願いしたい」
と言いました。
それを受けて1週間ほど初回訪問が先延ばしになったのですが、後になってこれは私の判断ミスだったと後悔することに。
この直後からタケさんは右目が見え辛さを感じるようになり、1週間後の初回訪問日には看護師をひたすら待ち望む状態になっていました。
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