余命宣告後初めての小旅行/医師と看護師の事前連携体制/終末期のこと[14]

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急な昏睡状態から一夜明けた朝。夫タケさんはいつも通りのタケさんでした。

何度呼びかけても身体を揺さぶっても応答がなくて、そんな急に昏睡状態に入るなんて全く想像していなかったから、その日は1日中息子達と泣いて泣いて過ごした日。

いつも通りになったタケさんに前日の昏睡状態の時の話をしたのだけれど、何の記憶も無いタケさんは、ある意味他人事のように、驚きながら私達の話を聞いているように感じました。

目次

計画していた小旅行をどうするか

タケさんのどうしても叶えたかった夢。

友人の宮司さんに神社で祈祷をしてもらうこと。

高速道路で片道2時間の小旅行。

昏睡状態になったのは、その夢の小旅行の4日前でした。

全く意思疎通も出来なくて、そんな状態で回復するとも思えず、友人の宮司さんに状況を説明してキャンセルをお願いしてしまっていました。

さて、どうしようか…

本来ならそんな状態であれば、身体がちゃんと回復するまで延期するのが妥当な判断なのでしょう。

でも今の状態で延期したら実現は叶わなくなってしまう可能性はかなり高い。

そう思った私達家族は訪問看護師さんとも相談の上、予定通り決行する事にしました。

宮司さんには事情を説明して、キャンセルのキャンセルをお願いしました。

訪問医師と看護師の連携プレー

訪問医・訪問看護師・ケアマネさんの情報の共有。

万が一に備えて訪問医からの封書も手渡されました。

その封書はしっかり封印がされていましたが、「使わなかったらいつでも開けて見てもいい」と言って渡されたものです。

封書の中身

タケさんが亡くなった後の慌ただしさが少し落ち着いた頃、そういえば開けていいと言っていたなと思い出して、その封書を開けてみました。

中には、今まで行った全治療の詳細が記入されていました。

そしてもう一枚の紙には

・在宅緩和療法中であること

・今回は無理を承知の上での旅行であること

・(担当医の携帯電話の番号)こちらに連絡下さい

と書いてありました。

訪問看護師が言ったこと

この封書を持ってきた訪問看護師の田中さんが私に念押ししたことは

『もしも体調が急変しても、救急車は呼ばないで、私達にまず連絡を下さい』

という事でした。

理由は主に2つ

・慌てて救急車を呼んだら、望まない延命処置を救急隊はせざるをえない事になる可能性がある。

・亡くなった場合、変死扱いになって望まない解剖をしなければならなくなる可能性がある。

とにかく救急車を呼ぶ前にまず私達に連絡を下さい

と念押しされました。

小旅行前の往診

小旅行前に往診に来た訪問医。

夜中でも車に積んであるパトランプを点けて飛んで行くと言ってくれました。

その言葉がどれだけ心強かったことか…今思い出してもありがたくって泣けてきます。

こうして大勢のサポートが整った中、タケさんの小旅行が実現することになりました。

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